
今回は一部の方々からの要望に応えまして、万年青(おもと)の池坊(いけのぼう)型を紹介していこうと思います。
御存知の方も多いとは思いますが、池坊は‘いけばな’500年の歴史においてその大元(おおもと)をなす源流の流派です。ほぼ全ての他流派も、元を辿れば池坊に行き着きます。
今回はこの源流の上品かつ美しい、華道の本筋の型をお見せしていこうと思います。

簡単ではありますが、上画像が池坊の万年青の型(生花)を上から見た図となります。非常に複雑に感じる方も多いのではないでしょうか。池坊はざまざまな決まりごとがあり又、型も多種にわたる非常に難度の高い流派です。言い換えれば型等を覚えてしまえば余計なことをする必要が無いのです。(それゆえ現在の家元は非常に苦労されていると思いますが(^^;;))なぜなら今の生徒さんは型だけ覚えるような窮屈な授業を好みませんので。
ですが完成した作品はやはり他を圧倒する存在感があります。最近の私のInstagramでも一番’いいね‘が付いたのがこの作品です。’いけばな‘でインスタ映えを考えている方がいらっしゃれば池坊をお勧めします❗️(実体験より)
では早速作品の製作過程を説明していきます。まずは下画像をご覧ください。

真(しん)にあたる立葉をいけます。葉の裏を見せるように、前面へのカーブを意識します。この葉がうまくいけられないとこの万年青の作品は成立しません。非常に重要なものです。

次に露受葉(つゆうけば)を立葉の真裏に、今度は葉の表面を表にしていけます。
ポイント
池坊では中心に挿す立葉と露受葉には今年生じた新葉を用い、外側に古い葉を用います。

次に私は万年青の実(み)をいけます。個人的には実の位置をここで決めてしまった方が、その後がいけやすいのでそうしています。

今回は偶然にも実(み)が2房(ふさ)手に入ったので、少しボリューミーにいけていこうと思います。やはりアクセントとなる実(み)が目立ったほうが作品に迫力が出ますので😀

次に立葉あしらいを上画像のようにいけます。
ポイント
立葉には素直に立ち上がった葉を。露受葉には少し特徴的ない葉を。前葉には幅が広く短い葉を選ぶと全体的なバランスが良くなります。

’立葉あしらい‘と’流葉あしらい‘をそれぞれ一枚ずついけます。先ほど貼った構成図と少し違うところがあるかもしれませんが、花材はそれぞれ個性を持っていますのでその個性をまとめ上げるには型だけでは解消されない部分も多々あります。こればかりは慣れるしかありません。
ポイント
型(かた)に囚われすぎてはいけない。一番重要なことは花材をよく見てその個性を生かすこと。

流葉(ながしば)を横へ、斜め前方に流す。

前葉を一番手前に挿して葉裏を前に見せて斜め前方にいけます。露受葉あしらいもいけて完成ですが、ここから少し個人的なアレンジを加えたいと思います。下画像をご覧ください。

足下と余白が少し気になったので、草月流の考え方を取り入れてアレンジメントの要素をスパイスとして入れてみました。
これにて suzuhara toji流の万年青は完成です❗️
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