今回は遠州流の万年青(おもと)のいけ方を解説していきます。
ところで皆さんは万年青ってご存知でしょうか?

万年青の葉は一年中青々として次々と新葉を出すことから、めでたいものとして真っ赤な実と共に賞美されています。実物(みもの)は本来祝儀の席には用いないことになっていますが、万年青に限っては特別に扱われ、めでたい席にいけます。
徳川家康の江戸城入場に先立ち、徳川家が代々栄えますようにと、葉を常に保つ万年青を家臣が献上し、実際に265年間もの長きにわたり繁栄したことからも縁起の良い花材として扱われています。
今回はこの縁起の良い花材をいけていこうと思います!
それでは準備からはじめていきましょうか。

花屋さんで購入すると、このような一枚葉が束になって売られています。
この花材の特徴からも分かるように、剣山を使用した’いけ方‘になります。また花器は背が高く美しいものは避けて、背の低いわびしい感じのものを使用すると全体的な感じがよいです。
根元の処理も重要です。剣山に刺さりやすいように花鋏にて下画像のような処理を施します。

万年青の根元を中心から左右に鋏(ハサミ)で斜めにカットします。
これで準備は完了❗️いけこみ開始です😁
まず真(しん)と呼ばれる一番背の高い花材をいけていきます。数ある万年青の中から選りすぐりの物を選んでください。

遠州流では基本的に真(しん)は先端が中心線に当たるようにいけますが、万年青に関しては少し左に傾げさせます。これは万年青の自然な情景を表現するための手法です。
次は真(しん)に添わす形で役枝(やくえだ)をいけます。

真(しん)を後ろから包み込むようにいけると、美しいフォルムになりますので是非やってみてください。

次は前添え(まえぞえ)をいけます。上画像のように葉の裏を正面にして少し斜めにいけます。これだけでも万年青の表情が出てきたと思いませんか?

そして胴(どう)と呼ばれる役枝をやはり、葉の裏を正面にしていけます。
これが万年青をいける上での背骨となる基本構造です。ここから実物を含めいけていきますが、これは次回のお楽しみということで。
是非、次回の’いけばな‘(生花 万年青②)をご覧ください。奥義を含めご紹介していきます❗️
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